皆さんは、高齢社会対策大綱を読んだことがありますか?
高齢社会対策大綱とは、高齢社会対策基本法によって、政府(内閣府)に作成が義務付けられています。政府が推進する高齢社会対策の中長期にわたる基本的かつ総合的な指針となるものです。
よって、高齢社会対策大綱を読めば、国がジェロントロジーをどうとらえているかの大枠がよくわかります。
ここでは、全体像の骨子だけ、簡単にご紹介します。
皆さんは、ぜひ、一度しっかり目を通してみてください。
高齢社会対策大綱は2018年2月に改定されています。
基本的な考え方は以下の3点です。
(1)年齢による画一化を見直し、全ての年代の人々が希望に応じて、意欲・
能力をいかして活躍できるエイジレス社会を目指す。
(2)地域における生活基盤を整備し、人生のどの段階でも高齢期の暮らしを
具体的に描ける地域コミュニティを作る。
(3)技術革新の成果が可能にする新しい高齢社会対策を志向する。
目次に沿った分野別の基本的施策の大項目は以下の通りです。
(1)就業・所得
①エイジレスに働ける社会の実現に向けた環境整備
② 公的年金制度の安定的運営
③ 資産形成等の支援
(2)健康・福祉
① 健康づくりの総合的推進
② 持続可能な介護保険制度の運営
③介護サービスの充実(介護離職ゼロの実現)
④ 持続可能な高齢者医療制度の運営
⑤ 認知症高齢者支援制度施策の推進
⑥ 人生の最終段階における医療の在り方
⑦ 住民等を中心とした地域の支え合いの仕組み作りの促進
→「地域強制社会」の実現を目指す
(3)学習・社会参加
① 学習活動の促進
② 社会参加活動の促進
(4)生活環境
①豊かで安定した住生活の確保
② 高齢社会に適したまちづくりの総合的推進
③ 交通安全の確保と犯罪、災害等からの保護
④成年後見人制度の利用促進
(5)研究開発・国際社会への貢献等
①先進技術の活用及び高齢者向け市場の活性化
② 研究開発等の推進と基盤整備
③ 諸外国との知見や課題の共有
(6)全ての世代の活躍推進
ご参考までに、改定前の高齢社会対策大綱2012の基本的考え方は以下の通りです。
(1)「人生90年時代」を前提とした仕組みへの転換
→高齢者の捉え方の意識改革、働き方や社会参加、地域におけるコミュニティや生活環境の在り方、高齢期に向けた備え等
(2)「自己力」の強化:自分の可能性を最後まで追求
→高齢者の「居場所」と「出番」をつくる
(3)「互助」の精神:「地域力」「仲間力」の強化
→地縁を中心とした地域でのつながり、地域の人々・友人・ 世代や性別を超えた人々との間の「顔の見える」助け合い
そもそも、前回の高齢社会対策大綱2012の達成度や振り返りがなく、上塗りされていることに、違和感を感じるのは、私だけでしょうか。
おそらく、基本的かつ総合的な指針だから、達成度も振り返りも不要というのが、政府(内閣府)の見解なんだと推測します。
くりかえしますが、皆さま、ぜひお時間あるときに、一度全部目を通してみてください。
巻末の「高齢社会対策大綱数値目標」もおすすめです。