メンタルモデルに向き合う覚悟

皆さん、メンタルモデルという言葉を聞いたことがありますか?

メンタルモデルとは、認知心理学の用語で、人が「何かしらのモノやヒト」に対して持っているイメージ(仮説)のことで、情報認識や意思決定に非常に大きな影響を与えるものです。

コミュニケーションの前提、言い換えると対話の前提として、相手と自分のメンタルモデルにしっかりと向き合うこと、さらに、お互いのメンタルモデルがどう変化するかを意識することが、大事です。

タイトルに「覚悟」という表現を使ったのは、このメンタルモデルに変化を起こすことがとても難しいからです。慣性の法則が強いのです。皆さんもお分かりの通り、なかなか変わらないのが現実です。

しかし、この「メンタルモデルの変化」に向き合わないと、多くの社会的課題を根本的に解決することはできません。

つまり、ストレス社会・孤独社会・格差社会・分断社会・非寛容社会など、多くの社会的課題の根っこに横たわっている「メンタルヘルスの問題」に立ち向かうには、「メンタルモデルの変化」を起こす必要があるということです。

「メンタルモデルの変化」にフタをしたままで、いくら社会システムの変革だ、イノベーションだ、AIだ、ロボットだ、と言ったところで、多くの複雑骨折している社会的課題を解決することはできません。

異次元の超高齢社会かつ人口減少社会の土台の上に、多くの複雑骨折した社会的課題が乗っている日本の現実に真正面から向き合わないと、悲しいかな、今まで通りの後手後手が続きます。もう少し危機感を持ちましょう。平和ボケの日常に流されているだけでは、今の子どもたちに申し訳ないと思いませんか?

はっきり言うと、社会システムなど、トップダウンで思考している人の大半は、この「メンタルモデルの変化」を意識すらしていません。そんなのわかっていると言う人も、「現場の専門職」と「本人の自己責任」に丸投げしているのが現実です。つまり、現場である「地域社会」の現実に目を背けていると言うか、単に無知なだけのようにも思います。

踊る大捜査線の「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ」です。

たとえば、最近話題になった、中高年の引きこもり問題、いわゆる8050問題でも、何年も前から指摘されていたことです。この問題を解決につなげていく上で、本人・家族・ご近所の住民などの「メンタルモデルの変化」なしに、可能だと、あなたは思いますか?

私が「覚悟」と言っているのは、志と使命感を持って、「メンタルモデルの変化」に向き合うために、「草の根ジェロントロジー」を構想しているからです。

皆さんに「共創」をお願いしている背景です。