リーン・スタートアップ

書籍『リーン・スタートアップ』(エリック・リース著)が出版されて、約8年が経ちました。全く新しいスタートアップ論を示したこの本は、シリコンバレーを含め全米で一大ブームを巻き起こしました。

スタート・アップとは、とてつもなく不確実な状態で新しい製品やサービスを創り出さなければならない人的組織をいう。言い換えると、新しいビジネスモデルを開発し、ごく短時間のうちに急激な成長を目指す点が、ベンチャー企業との違いである。

また、リーンとは、トヨタの生産方式を体系化したリーン生産方式からきた言葉で、「ジャスト・イン・タイム」という生産効率性の向上と、「自働化」による問題の顕在化・見える化と呼ばれる2つの考え方を柱とする。

リーン・スタートアップでは、一言でいうと、「仮説の構築→実験と計測→学び」のプロセスを短時間でくるくる回し続け、検証された仮説を積み重ねて行くことで、無駄を排除し経営資源の浪費を避けるマネジメントである。顧客に向き合い続け、顧客への洞察を深めるプロセスが前提となっている。

それまでの日本では、スタートアップや新規事業というと、市場調査、商品・サービスの新規性、長期の経営計画など、分厚い資料を作り上げるイメージが強かった。しかし、社会の変化や顧客の置かれた環境の変化が激しく、不確実性の高い時代には、従来のアプローチは通用せず、リーン・スタートアップというマネジメント手法がスタンダードになっている。

実は、地域社会に向き合っていると、このリーン・スタートアップの考え方や行動は、多くの社会的課題に直面している「地域社会」(行政、NPO、町内会・自治会などの地縁組織、さまざまなコミュニティ活動など)にこそ、必要であることを痛感する。

「従来と同じことを繰り返すのが精一杯」「担い手がいない中、新しいことはできない」「そもそも今のままでいい」「不確実なアイデアに予算はつかない」など、超保守的というか、強い慣性の法則に支配された、これらのメンタルモデルに、まず変化を起こす必要がある。

まず、小さくやってみて、その結果を評価しながら、試行錯誤を繰り返していくというリーン・スタートアップの思考と行動が、上記のメンタルモデルに変化を起こす突破口と言える。

草の根ジェロントロジーの物語でも、「リーン・スタートアップの思考と行動」と「メンタルモデルの変化」がシーンづくりとストーリ展開の肝になっている。

皆さん、人生と地域を豊かに幸せにする物語を総力戦で共創して行きましょう。