皆さんの中で、『ティール組織』という、分厚い本に目を通したことがある方はいらっしゃいますか。
2018年1月に邦訳が発売されて以来、多くのビジネスパーソンが衝撃を受け、自分の会社の経営や働き方に疑問を持つ機会を与え続けています。
ここでは、「5段階の組織概念」に絞って、簡単にご紹介したいと思います。
「5段階の組織概念」とは、5つの色で示されています。
Redレッド赤色、Amberアンバー琥珀色、Orangeオレンジ色、Greenグリーン緑色、Tealティール青緑色の5つです。
Red組織とは衝動型で、組織生活の最初の形態と言われています。力と恐怖による支配。たとえば、マフィアやギャングなど。特定の個人の力で支配的にマネジメントすること。個人の力に依存するため、再現性がない組織形態とも言えます。
Amber組織とは順応型で、時間の流れによる因果関係を理解し、計画が可能に。規則・規律等による階層構造の誕生。協会、軍隊、官僚制など。この組織は今いる環境が不変であるという前提のため、状況変化に対応できないという問題があります。
Orange組織とは達成型で、科学技術の発展と、イノベーション、起業家精神の時代へ。「命令と統制」から「予測と統制」。実力主義の誕生。効率的で複雑な階層組織。多国籍企業など。ヒエラルキー内の流動性が生まれた反面、絶えず変化が起こる環境で競争を続けることが求められるため、機械のように絶えず働き続けることを助長します。日本において、ティール組織の考え方が急速に広まった要因は、日本の企業の大半がOrange組織に当てはまり、「働き方改革」によって警鐘が鳴らされているためと言われています。
Green組織とは多元型で、多様性と平等と文化を重視するコミュニティ型組織の時代へ。ボトムアップの意思決定。多数のステークホルダーなど。Orange組織のように単に目標を達成することをよしとせずに、組織に属する個人に初めて焦点が当てられています。社員にとっても心理的安全性が担保されやすく、Orange組織よりも格段に会社の雰囲気は良くなります。しかし、組織文化は多様性を認めているが、組織構造としてはヒエラルキーが残っている状況が生まれます。
Teal組織とは進化型で、変化の激しい時代における生命体型組織の時代へ。存在目的、自主経営(セルフマネジメント)、全体性(ホールネス)を重視する独自の慣行。組織は、組織に関わる全員のものであり、「組織の目的」を実現すべく、メンバー同士で共鳴しながら行動をとります。
この本を読んで、以下の3点を強く感じました。
(1)「本部機能」と「専門知識・経験を有する社員による助言」
→いわゆる人事部、経理部、営業本部などの「本部機能」の代替として、各分野の「専門知識・経験を有する社員による助言」をどう機能させるかが肝。特に人事評価。
(2)地域介護、地域コミュニティ活動向き
→本の中でも、数少ない成功事例として、オランダの非営利団体であるビュートゾルフがあります。2006年に設立され、在宅介護支援の新しいモデルを提供する組織として、今では24カ国に850チームが存在し、1万人以上の介護士が所属する組織です。そして驚くべきことに850のチームにはマネージャーが存在せず、「行動指針」が共有され、ティール組織として機能しています。
(3)前提となる3つの要素への対応が全て
→上記のTeal組織の説明に記載されている以下の3つの前提をどう実現するかの具体的なプロセスの議論無くしては、一歩も進まない。
①存在目的の共有と共感
②自主経営(セルフマネジメント)
③全体性(ホールネス)
皆さんも、ぜひ、ティール組織について考えてみてください。
皆さん自身の働き方や生き方を見直すヒント満載です。
次回のブログで、ティール組織の「3つの前提・要素」について、考えてみたいと思います。