大人の責任(その2)

皆さん、『未来の年表』(河合雅司著)は読まれましたか。異次元の超高齢社会かつ人口減少社会を身近に感じることができる、とてもいい本です。

続編である『未来の年表2』の大きなテーマとなっているのが、「大人の責任」です。日本は、約40年後の2060年には、高齢化率は40%近くに上昇し、2010年対比で人口が3分の2になります。今の子供たちや若者は、こんな異次元の大激動の時代を生き抜くことになるのです。現時点で大人の我々は、もっと真剣に、社会の変化に向き合うべきです。今までの延長線上ではダメなことは明白です。

NHKのチコちゃんに叱られますよ。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と。

では、本書の巻末に、以下のタイトルで書かれた、著者からの手紙の一部を紹介します。我々は、しっかり味わうべきです。マジで。

「豊かな日本をつくりあげてきた大人たちへ」

・年配者の中には、年金の給付水準が若い世代と比べて高いことなどを念頭に置いて、「自分たちは、逃げ切り世代だから関係ない」と口にされる方がいらっしゃいます。この言葉を若い世代がどのように聞いているのか、想像されたことはありますか?

・少子高齢社会の「惨状」は、私を含め鈍感に時を過ごしてきた大人たちの招いた結果です。次の世代は、生まれたときから厳しい少子高齢社会にあります。大人たちのツケを払わされるだけでは、やっていられないでしょう。「逃げ切り世代だから」と無関心を装い、「後のことは次の世代に任せた」というのは、無責任に過ぎます。

・若い世代が減れば、介護や生活支援が必要なときに支えてくれる人がいなくなります。しかも、大人たちは若者の雇用を壊し、非正規雇用を増やし続けてきました。2040年頃になると就職氷河期世代が高齢者となりますが、これに続く世代にも非正規雇用は広がっています。それは無年金・低年金者が増えるということです。彼らの多くは現在、親などからの支援で暮らしていますが、いつかは頼れなくなります。生活に困窮する人が社会に溢れたらどうなるでしょうか。

・地域においては、高齢者同士の助け合いが避けられません。これまでと同じような発想で政府や自治体、若い世代を当てにし、頼ることはできません。若い人には若い人にしかできない仕事を任せ、高齢者でもできる仕事は自分たちでやるしかないのです。

・これまでのやり方では、この「国難」を乗り切ることはできません。次世代の子供たちが背負う荷物を少しでも軽くすることが、少子化の危機を見過ごし、十分な対策を講じてこなかった今の大人たちの責務です。